「これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。」 創世記6章9節

 主なる神は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になり(5節)、人を造ったことで心を痛められました(6節)。11,12節にも、「この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なるものはこの地で堕落の道を歩んでいた」と記されています。
 
 そこで神は、人を地上から拭い去ろう、という決意をされました(6,13節)。それは、「地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるもの。天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える」(17節)と記されているとおり、地球大規模の大洪水をもって人を根絶やしにするというものでした。
 
 しかしながら、神は実際に滅ぼし尽くされはしませんでした。8節に、「ノアは主の好意を得た」とあり、14節以下には、箱舟を作るように命じられています。この箱舟で、ノアとその家族は洪水を逃れるのです。
 
 箱舟は、長さ300アンマ(約135メートル)、幅50アンマ(約23メートル)、高さ30アンマ(約14メートル)、総排水量が4万トンを越えるという、とてつもなく大きなものです(15節)。船の内部は、3階建てになっており(16節)、そして、各階ごと、小部屋に仕切られます(14節)。これは、どこか一箇所に穴が開き、浸水しても、すぐには舟が沈まない工夫で、現代の船の建造にも通用するものです。
 
 この船の大きさから考えると、神は、ノアとその家族だけを洪水から守りたいと考えておられたのではなく、多くのものを救いたいと考えておられたことが分かります。つまり、冒頭の言葉(9節)のとおり、ノアが主なる神の好意を得られたのは、「神に従う無垢な人」であり、「神と共に歩んだ」からですが、神は、初めから誰かに好意を得させようと決めておられたということです。そして、もっと多くのものを救いたいと考えられていたわけです。ここに、神の愛と憐れみが示されています。
 
 ここには全くその記述はありませんが、あるいは、ノアとその家族は、神に命じられて巨大な箱舟を建造する傍ら、周囲にいる人々に向かって、「主が洪水でこの地上を滅ぼし尽くすことに決められましたた。私たちと一緒にこの箱舟を造って乗り込み、生き延びられるようにしましょう」と訴えていたのではないでしょうか。しかしながら、ノアの言葉に耳を貸し、箱舟造りに協力したり、一緒に舟に乗り込もうという人はいませんでした。だからこそ、滅びを刈り取ることになるわけですね。
 
 ノアたちの行動は、周囲の人々には全く理解出来ないことだったわけです。恐らく、人々はノアの言葉に耳を傾けなかったというだけじゃなく、悪口雑言を浴びせ、嘲笑したのではないでしょうか。そのとき、私がノアの立場であれば、逃げ出したかもしれません。人の嘲りや侮辱に、到底耐えられないからです。
 
 22節に、「ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした」と語られているとおり、ノアは神に徹底的に従いました。ヘブライ書11章でも、「信仰によって、ノアはまだ見ていない事柄について神のお告げを受けたとき、恐れかしこみながら、自分の家族を救うために箱舟を造り、その信仰によって世界を罪に定め、また信仰に基づく義を受け継ぐ者となりました」と記されています。
 
 この世に倣わず、むしろ心を新たにして自分を変えて頂き、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようにならせていただきましょう(ローマ書12章2節)。

 主よ、あなたのご愛に感謝致します。あなたは救いを御子において成就され、御子を信じる信仰によって、救いの恵みに与ることが出来るようにして下さいました。私たちを聖霊で満たし、いつでもどこでも大胆に福音を宣べ伝えることが出来るようにして下さい。 アーメン