「この方のために神殿を建てる力が誰にありましょうか。天も、天の天もこの方をお納めすることができないからです。主のために神殿を建てようとするわたしは何者でしょうか。神殿はただ主の御前に香をたくためのものでしかありません。」 歴代誌下2章5節
いよいよ、ソロモン王が神殿と王宮の建築に取りかかります(1章18節)。既に父ダビデの代にダビデの町に王宮が建てられていますが(歴代誌上14章、15章1節、17章1節)、イスラエルの名を知らしめる豪華壮麗な宮殿が、神殿と共に必要だと考えたのでしょう。
まず、荷役の労働者7万人、石を切り出す労働者8万人、その監督3600人を動員します(1節)。その上で、隣国ティルスの王フラムに使節を送り(2節)、「金、銀、青銅、鉄、深紅の織物、緋の織物、青の織物を扱う熟練した者で、種々の彫刻にたけた者を一人こちらに送ってください」と求めます(6節)。
また、「レバノンからレバノン杉、糸杉、白檀の木材を送ってください。わたしは、あなたの家臣たちがレバノンの山林の伐採のことをよくわきまえていることを知っています。わたしの家臣をあなたの家臣と共に働かせ、大量の木材を準備させていただけないでしょうか」と願います(7節)。
その際、「わたしはわが神なる主の御名のために神殿を建て、これを主のために聖別して、その御前に香草の香をたき、絶えずパンを備え、・・・焼き尽くす献げ物をささげ、このことがイスラエルにおいていつまでも守られるようにしようとしています。わたしが建てようとしている神殿は大いなるものです。わたしたちの神はすべての神々にまさる大いなる方だからです」と、その心意気を示します(4節)。
ただ、冒頭の言葉(5節)のとおり、「しかし、この方のために神殿を建てる力がだれにありましょうか。天も、天の天もこの方をお納めすることができないからです。主のために神殿を建てようとするわたしは何者でしょうか。神殿はただ主の御前に香をたくものでしかありません」と続けて、神の御前に謙遜を示します。
けれども、だからといって、香を炊くスペースさえ取ればよいなどというのではなく、すべての神々にまさるお方に相応しく、「輝かしく偉容を誇る神殿を建てようとしているのです」と言います(8節)。ただ、どんなに意匠を凝らして人々が目を見張るような神殿を建てようとしても、神がそこにお住まいになるような建物を建てることは、人間には不可能だと語っているのです。
ここに、ソロモンの信仰が表れています。それは素晴らしいものです。実に、神が喜ばれるのは建物ではなく、神を畏れてなされる礼拝です。神殿の大きさや立派さ、そこでなされる礼拝の形式などが大事なのではありません。輝かしく威容を誇る神殿を建てさえすれば、イスラエルは安泰ということにはなりません。神は大量のいけにえなどではなく、私たちの謙った心を求めておられるのです。
とはいっても、形式は構わない、ということにもなりません。真心から神を畏れて御前に進めば、真の神を礼拝するに相応しい姿勢、そしてそれを表現する形が現れてくるはずだからです。ここにソロモンは、自分たちに出来る最上のものを神に献げたいと言っているのです。ソロモンは、自分に与えられた知恵と識見、さらに、合わせて授けられた富と財宝、名誉のすべてをもって神に仕え、それに相応しい礼拝をしようとしているのです。
フラムはその願いに対し、「主は御自分の民を愛して、あなたをその王とされた」と言い(10節)、「天と地をお造りになったイスラエルの神なる主はたたえられますように」と賛美をささげます(11節)。
パウロが、「あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう。世界とその中の万物とを創られた神が、その方です。この神は天地の主ですから、手で造った神殿などにはお住みになりません。また、何か足りないことでもあるかのように、人の手によって仕えてもらう必要もありません。すべての人に命と息と、その他すべてのものを与えて下さるのは、この神だからです」(使徒言行録17章23~25節)と語りました。
天地万物を造り、その御手の内にすべてのものを支えておられる神は、私たちを愛し、私たちとの交わりを喜んで下さるお方です。ゆえに、罪人の私を選び、独り子の命で贖い、私たちに「アバ父よ」と呼ぶ霊を授けて、私たちが神の子であることを明らかにして下さったのです。
計り知れない神のご愛に心から感謝し、御名をほめ讃えましょう。私たちの日々の祈りが、神の御前に芳しい香りとして常に立ち上るように、そのために自分を空しくし、絶えず聖霊に満たしていただきましょう。
聖霊様、あなたに相応しくないものを心の中から締め出し、あなたを通して与えられる神の愛で満たして下さい。主の御声を聴き、御旨に従って歩ませて下さい。すべてを主に委ねます。 アーメン
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